「脳卒中」とは、がん・心臓病(心疾患)に次いで日本人の三大死因となっている「脳血管疾患(障害)」の別名で、一般的にこちらのほうがよく知られた呼び名です(以下、「脳卒中」と呼称)。
日本で昔から多かったこの脳卒中は、いまやその死亡数こそ減少してきていますが、発症数においては三大死因の中でトップに位置しています。
総患者数も死亡原因第一位の「がん」より多く、決して過去の病気というわけではありません。
高齢者が要介護・寝たきりとなる、最大の原因となっている病気です。
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高齢者の認知症の3割が、脳卒中による「脳血管性認知症」と言われます。脳卒中は、ある日突然に発症し、また再発しやすい特徴を持つ病気です。
再発率は年間およそ2~3%程度ともいわれており、特に発症後1年程度は、十分に気をつける必要があるとされます。
年齢が高くなるほど血管の痛みが進むことから、65歳以上の高齢者における脳卒中の発症率は若年層に比べても高くなっており、また性別においては男性のほうが、女性より発症率がやや高くなっています。
脳卒中は、脳にかかわるさまざまな病気・病名を総称したものですが、「脳の血管が詰まる」か「脳の血管が破れる」ことによって、脳組織が壊死(えし)するという点において共通しています。
脳卒中を大きく分けると、「脳の血管が詰まるタイプ」(脳梗塞〔脳こうそく〕など)と、「脳の血管や脳動脈のこぶが、破れて出血するタイプ」(脳出血・くも膜下出血など)のふたつになります。
ちなみに、脳卒中の中でもっとも多い(全体の約7割を占める)のは、「脳梗塞」となっています(なお、脳梗塞については、姉妹サイト「脳梗塞の前兆と症状~予防・治療の概要を知る」も、あわせてご覧ください)。
脳出血は、高血圧や加齢などにより脳の血管が長い時間をかけてもろくなった結果、脳の細い血管がやぶれて出血するものです。
出血が固まると「血腫」となり、周囲の脳細胞にもダメージを与えます。
脳をおおっている「くも膜」の下部の血管、特に血管がふくらんだ「脳動脈瘤」が破裂して出血するのが「くも膜下出血」です。
突発的な激しい頭痛が前触れの症状として多く出ますが、放置するとやがて本格的な「くも膜下出血」を起こすことになります。
脳卒中の症状は、「脳のどの機能をつかさどる部分で、血管が詰まったり破れて出血したか」によっても、異なってきます。
つい昨日まで大丈夫だったにもかかわらず、顔面や脚の麻痺(まひ)、感覚の障害、筋力低下、舌の麻痺による失語状態、相手の話が理解できない、うまく言葉が話せないなどの症状を突然に呈します。
また、突然激しい頭痛がしたり、吐き気にみまわれることなどもあります。
視力に障害が現れたり、めまいがしたり、平衡感覚を失って転倒することもあります。
発症の直後に脳の機能が大きく損なわれる症例もあれば、いったん症状がおさまり、その後数日をかけて徐々に機能が損なわれていく場合もあります。
上記のような症状が出た場合、仮におさまったからといって放置することが最も危険です。
直ちに病院に直行して、専門医の診察を受ける必要があります。
たとえば脳梗塞の場合、脳血管内にできた血の固まり(血栓)を溶かす目的で「tPA」という薬の投与を行うことがありますが、「tPA」は発症から3時間以内に投薬しなければならないという時間的制約があります。
また脳出血の一症例で脳の内部で出血する「脳内出血」においては、脳内にたまった血液があまりに大きくなったときなど、それを取り除くための手術を早急に行う必要があります。
このような場合などは、対応の遅れが一命に関わるだけでなく、深刻な後遺症が残る可能性もあります。
出血が長時間続いたり、あるいは血管の詰まりによる酸素不足などで脳にダメージが生じると、程度の差こそあれ、言語障害や下半身まひなどの後遺症が残る可能性が高まります。
後日のリハビリによる回復を目指すにしても、早期の治療対応ができたかどうかによって、リハビリに費やす時間・月日が大きく異なってきます。
脳卒中はその発生原因や、治療時点でどのような症状を呈しているかで、治療の方針がまったく異なってくるため、病院でMRIや脳血管造影などの検査をしてみないとわからない部分が多くあります。
したがって、上に述べたような症状が見られたときはまさに一刻を争う事態と考え、ただちに専門医の診察を受ける必要があることを、心に留めておいてください。
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脳卒中の最大の危険因子とされるのは「高血圧」というのが、現在では一般的な考え方となっています。
次いで、動脈硬化・糖尿病・心房細動(不整脈)・脂質異常症(高脂血症)などが、危険因子として指摘されています。
喫煙や過度の飲酒・運動不足・ストレスなどにかかわる、いわゆる生活習慣病を引き起こす危険因子が多くなるような生活を避けることが、すなわち脳卒中の予防にもつながることはおぼえておきたいものです。
たとえば、「肥満が脳卒中の危険因子である」といった統一見解は、実はまだ確立されているわけではありません。
「肥満は脳卒中とは関係がない」とする説もありますし、また時代によって新しい研究結果や実験結果が発表され、危険要因の重要度が変わってくる…という面は、確かにあります。
しかしながら、かりに高血圧が脳卒中においてもっとも警戒すべきとわかっているにせよ、私たちはしょせん、「高血圧だけ」に対する予防手段をとることなどは出来ません。
また、薬やサプリを飲めばよいというものでもありませんし(たとえば脳塞栓のように高血圧との関係が薄い疾患もありますし、降圧剤などを服用してはならない場合もあります)、脳卒中といってもさまざまなタイプの脳疾患を含んでいますので、特定の予防策が「脳卒中全般の予防」に対して有効に作用する…とは言えないからです。
高血圧や動脈硬化、糖尿病を引き起こす要因となる生活習慣の乱れを改め、生活習慣病の予防を心がけることが、ごく普通の日常を送る私たちにとって最善の脳卒中予防となります。
これはさらにメタボリック・シンドローム(内臓脂肪症候群)対策なども兼ねることになるため、まさしく一石二鳥といえるのではないでしょうか。
最後に、具体的な脳卒中予防のポイント(すなわち、生活習慣病対策にもなります)として、いくつかあげておきます。
・現在、高血圧や不整脈の方は、まずはその治療に努めること。
・健診でメタボリック・シンドロームに該当すると診断された方は、食事(内容と回数・時期)を見直すと同時に、生活習慣上の危険因子を減らしていくこと。
すなわち食事においては、塩分・脂肪・コレステロールの過度の摂取を控えるようにする。
自分の現在の体力にあった適度な有酸素運動(ジョギング・自転車等)と休息をとり、ストレスや不規則な生活リズム等をできるだけ避けるように心がける。
・なにかとツライ勤め人の方も多いでしょうが、なんとか節酒と禁煙を!
過度の飲酒は、脳梗塞の発症率の増加と正比例の関係にあるという研究結果があります。
また喫煙が脳梗塞の発症リスクを2~4倍程度高める危険因子であることは、すでに専門家の見解としても確立されています。
・生活習慣の見直しにちなんで、夏の脱水症状や冬場の寒さなどにも注意。
特に夜中は脱水症状となりやすく、脳梗塞の遠因として指摘する声があります。
寝る前にはコップ一杯の水分補給を。
また寒いと血圧が上がるため、冬のお風呂などには注意。
冷えた体でいきなり熱いお湯に飛び込むのは厳禁、また脱衣所やお風呂も、事前によく温めておきましょう。
脳卒中の予防は、いつからでも始めることができます。
加齢による血管の老化など、自分ではどうにもならない要因も確かにあるのですが、一方で効果的な予防によって、脳卒中の発症につながる危険因子を減らしていけることもまた確かです。
世界にひとつしかない、自分の脳と身体を守るためです。
関心を高く持って、まずは出来ることから実行に移していきたいものですね。
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